2009年1月13日火曜日

残業代請求

今回は、サービス残業の残業代請求に関する判例を紹介します(つづき)。 

第2 事案の概要
1 本件は,被告の従業員であった原告が,被告に対し,時間外,休日及び深夜の割増賃金(残業代)の支払を求める事案である。
 なお,原告の請求の内訳は次のとおりである((1)から(3)までが請求1に対応し,(4)が請求2に対応する。)。
(1)平成17年2月16日から平成18年6月22日までの労働基準法37条所定の時間外,休日及び深夜の割増賃金(残業代)701万5441円。
(2)(1)に対する平成18年7月26日から同年12月31日まで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金18万3362円。
(3)(1)に対する平成19年1月1日から支払済みまで賃金の支払の確保等に関する法律6条所定の年14.6パーセントの割合による遅延損害金。
(4)労働基準法114条所定の付加金として(1)と同額の701万5441円。
2 争いのない事実
(1)被告は,衣料品及びスポーツ用品のデザイン,製造,加工,販売等を業とする会社である。
(2)原告は,平成4年に被告に入社し,その本社においてユニフォームのプリント加工等の業務に従事していた。また,原告は,平成12年9月1日から,生産統括本部の技術課課長に就任した(ただし,この就任の日は被告が主張する日であり,原告は「平成13年ころ」と主張する。)。
 そして,原告は,平成18年6月26日から休業し,同年12月31日付けで被告を退職した。
(3)被告においては,賃金は,毎月15日締めで25日に支給されていた。
3 争点
 本件の主な争点は次のとおりである。
(1)原告が,労働基準法41条2号にいう「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」という。)に該当するか否か。
(2)原告が被告に対して請求しうる時間外,休日及び深夜の割増賃金(残業代)の金額。
4 争点1(管理監督者)に関する当事者の主張
(1)被告の主張
 原告は,労働基準法41条2号において時間外,休日及び深夜の割増賃金(残業代)に関する規定の適用を除外されている管理監督者である。
ア 原告は,平成12年9月1日に課長に昇進した。
 そして,被告においては,役職者は部長が1名,課長が2名(原告を含む。)しか存在せず,課長であっても,一般の企業に比して高い地位と大きな職責を有する。
イ 原告は,課長として,被告の経営方針等を協議・決定するために1か月に2回程度実施される経営会議に出席し,会社の経営の中枢を担っていた。また,報酬面においても,原告に支給されていた金額は代表取締役や取締役と比較しても遜色がなく,社内でも屈指のものであった。
ウ 原告の出社・退社の時刻は原告の自由に委ねられており、それが原告の勤怠成績として評価されたり,ボーナスの査定要素とされることはなかった。
(2)原告の主張
 原告が管理監督者であることは否認する。 
ア 原告は確かに課長ではあるが,その仕事の内容はユニフォームのプリント加工等という工場内での手作業を自ら行うことであって,その地位が高いわけではなく,その職責も限られたものであった。
イ 原告が,1か月に2回程度実施される経営会議に出席していたことは認める。
 しかし,この経営会議は,月々の営業目標の設定,売上げノルマの到達度の確認などを行う会議であり,ここで原告が関与して,被告の経営についての重要事項が決定されていたわけではない。
ウ 原告は,タイムカードにより始業時刻・終業時刻を管理されており,自由に出社・退社することができたわけではない。

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