2010年6月4日金曜日

顧問弁護士(法律顧問)が扱うテーマ:平和義務違反の争議行為

顧問弁護士(法律顧問)が扱うテーマをメモしています。

今回は、平和義務違反の争議行為についてです。

平和義務違反の争議行為に関しては、最高裁(弘南バス事件。上告会社の従業員である被上告人らが、上告会社の許可なく組合文書檄文旗等を掲示したことなどを理由とする本件懲戒解雇が無効であるとして、上告会社の従業員としての地位を有することの確認を求めた事案)において、以下のとおり判断しました。

懲戒解雇は、普通解雇と異なり、譴責、減給、降職、出勤停止等とともに、企業秩序の違反に対し、使用者によつて課せられる一種の制裁罰であると解すべきこと、当裁判所の判例とするところである(昭和三六年(オ)第一二二六号同三八年六月二一日第二小法廷判決、民集一七巻五号七五四頁参照)。そして、平和義務に違反する争議行為は、その平和義務が労働協約に内在するいわゆる相対的平和義務である場合においても、また、いわゆる絶対的平和義務条項に基づく平和義務である場合においても(ちなみに、上告会社主張の争議妥結協定および細目協定は、紛争解決に関する当事者のたんなる心構えの相互確認の域を出るものではなく、いわゆる絶対的平和義務条項ではありえない。)、これに違反する争議行為は、たんなる契約上の債務の不履行であつて、これをもつて、前記判例にいう企業秩序の侵犯にあたるとすることはできず、また、個々の組合員がかかる争議行為に参加することも、労働契約上の債務不履行にすぎないものと解するのが相当である。
 したがつて、使用者は、労働者が平和義務に違反する争議行為をし、またはこれに参加したことのみを理由として、当該労働者を懲戒処分に付しえないものといわなければならず、原審の判断は、右とその理由を異にするところがあるが、けつきよく、正当であつて、論旨は採用できない。



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