2010年3月18日木曜日

労務問題(残業代請求など)関連:身元保証人

顧問弁護士に多い問い合わせについてまとめます。

今回は、身元保証人の責任についてです。

身元保証とは、被用者の行為によって使用者が受けた損害を賠償すること約する契約です(身元保証法1条)。

身元保証契約は、安易に身元保証になるケースが多いことから、このような保証人を保護するため、身元保証法が制定されました。このような趣旨から、身元保証人の責任は制約されています。

まず、身元保証契約の期間は、契約に期間の定めがなければ3年で終了します。定めがある場合でも、5年が上限です。合意で更新することはできますが、その期間も5年を超えることはできませんし、自動更新の規定は無効です。

次に、使用者は、労働者が「業務上不適任または不誠実」だったり、「任務または任地」が変更し、身元保証人に危険が及ぶような場合には、遅滞なく身元保証人に通知しなければなりません。このような事実がある場合、身元保証人は、将来に向かって身元保証契約を解除できます。

保証責任の範囲・金額については、裁判所は、被用者の監督に関する使用者の過失の有無、身元保証人が保証をするに至った事由、これをなすにあたって用いた注意の程度、被用者の任務、身上の変化その他一切の事情を斟酌できます。

裁判例においても、身元保証人の責任の有無・範囲を限定的に解するものが多くみられますので、企業としては、身元保証人をあてにせず、従業員の指導監督により損害発生を未然に防止するように心がけるべきでしょう。


以上について、ご不明な点がありましたら、顧問弁護士までお問い合わせください。

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最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。