2009年6月23日火曜日

残業代請求(サービス残業)

今回は、サービス残業の残業代請求に関する判例を紹介します(つづき)。 


(4)まとめ
ア 以上によると,原告の時間外の労働時間,休日の労働時間,これらのうち深夜の労働時間の合計は,別表3(別表2の各表の末行を集計したもの)記載のとおりである。
イ 平成17年3月分から5月分まで
(1)で認定判示したとおり,平成17年3月分から5月分までの原告の割増賃金(残業代)を算定する基礎となる賃金の金額は,38万5200円である。
 また,(2)で認定判示したとおり,原告の1か月の平均所定労働時間数は170時間とするのが相当である(以下同じ。)。
 したがって,次の計算式により,この期間の時間外手当(残業代)は96万4699円(円未満切捨て。以下同じ。),深夜割増手当は2万9928円,以上の合計は99万4627円である。
計算式
385,200÷170×1.25×(340+36÷60)=964,699
385,200÷170×0.25×(52+50÷60)=29,928
ウ 平成17年6月分
(1)で認定判示したとおり,平成17年6月分の原告の割増賃金(残業代)を算定する基礎となる賃金の金額は,38万9200円である。
 したがって,次の計算式により,この期間の時間外手当(残業代)は53万9871円,休日手当は4万4763円,深夜割増手当は3万2290円,以上の合計は61万6924円である。
計算式
389,200÷170×1.25×(188+39÷60)=539,871
389,200÷170×1.35×(14+29÷60)=44,763
389,200÷170×0.25×(56+25÷60)=32,290
エ 平成17年7月分から平成18年6月分まで
(1)で認定判示したとおり,平成17年7月分から平成18年6月分までの原告の割増賃金(残業代)を算定する基礎となる賃金の金額は,39万2200円である。
 したがって,次の計算式により,この期間の時間外手当(残業代)は416万5923円,休日手当は30万2005円,深夜割増手当は19万4350円,以上の合計は466万2278円である。
計算式
392,200÷170×1.25×(1444+35÷60)=4,165,923
392,200÷170×1.35×(96+58÷60)=302,005
392,200÷170×0.25×(336+58÷60)=194,350
オ 平成18年7月分
(1)で認定判示したとおり,平成18年7月分の原告の割増賃金(残業代)を算定する基礎となる賃金の金額は,39万3200円である。
 したがって,次の計算式により,この期間の時間外手当(残業代)は16万0508円,休日手当は1万7798円,深夜割増手当は1万1015円,以上の合計は18万9321円である。
計算式
393,200÷170×1.25×(55+31÷60)=160,508
393,200÷170×1.35×(5+42÷60)=17,798
393,200÷170×0.25×(19+3÷60)=11,015
カ まとめ
 そして,イからオまでの合計は646万3150円である。
 また,これに対する平成18年7月26日から同年12月31日まで(159日間)商事法定利率年6分の割合による遅延損害金は16万8927円である。
計算式 6,463,150×0.06×159÷365=168,927
 さらに,原告の時間外労働(残業),休日労働,深夜労働の時間数は非常に大きく,前記認定判示のとおり,そのほとんどが現場でのプリント作業に費やされている。また,被告は,タイムカードを通じて原告のこのような労働状態を認識していたところ,被告が,このような状態を改善しようとしたり,原告の健康管理に意を払ったりしたことを認めるに足りる証拠はない。
 そして,これらの事情に照らすと,原告が請求する労働基準法114条所定の付加金は,上記認定金額の646万3150円の限度で理由があるというべきである。なお,原告が本件訴訟を提起したのは平成19年3月21日であり,もっとも古い平成17年3月分の割増賃金(残業代)(支払日は同月25日)についても,同条ただし書きの期間は遵守されている。
 また,原告は,付加金の支払についても仮執行宣言を求めるが,同条所定の付加金は,裁判所の判決が確定してはじめて発生するものであるから,その性質上,仮執行宣言を付することはできない。

なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。そのほか、個人の方で、不当解雇保険会社との交通事故の示談交渉刑事事件多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題オフィスや店舗の敷金返還(原状回復)などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。