2010年11月15日月曜日

交通事故関連の裁判例

東西に通じる、歩車道の区別のある片側一車線の道路(以下「東西道路」という。)と、南北に通じる一車線の道路(以下「南北道路」という。)とが交差する、信号機により交通整理の行われていない交差点(以下「本件交差点」という。)において、東西道路の東行き車線を走行していた被告乙山次郎(以下「被告次郎」という。)が所有し、被告乙山太郎(以下「被告太郎」という。)が運転する普通乗用自動車(以下「被告車両」という。)と、南北道路を北から南に走行していた甲川花子(以下「甲川」という。)運転にかかる自転車(以下「甲川車」という。)とが、出会い頭に衝突し、甲川が傷害を負った(以下、この事故を「本件交通事故」という。)として、甲川の同居の親族(父)との間で、甲川を被保険者とする人身傷害補償特約付きの自動車保険契約(以下「本件保険契約」という。)を締結していた原告が、甲川に対し、上記特約に基づいて人身傷害補償保険金(以下「本件保険金」という。)を支払ったことによって、商法六六二条に基づき、甲川が被告らに対して有する本件交通事故による損害賠償請求権を代位取得したとして、被告らに対し、その支払を求めるとともに、本件保険金の支払日の翌日である平成一九年八月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案の裁判例です。甲第一四号証、甲第一五号証、乙第九号証ないし一一号証及び大阪市教育委員会教職員給与担当課長の調査嘱託回答書(乙一三)によれば、甲川は、大阪市立山之内小学校に事務主事として勤務していたところ、本件交通事故当日から平成一八年九月末日までの間、公休をとり、同年一〇月二日から職場に復帰したこと、甲川は、同小学校の庶務部の福利係(要保護・準要保護に関する事務全般を担当する。)、経理部の公費係(このうち、学校維持運営費に関する事務を担当する。)及び学校徴収金係(このうち、収入に関する事務を担当する。)に所属してそれぞれの事務を担当しており、本件交通事故の前後で担当する事務に変更はないが、本件交通事故後は、同僚の職員等が甲川の職務を援助している状態であること、甲川の所得は、本件交通事故の前年である平成一七年は二八二万八二〇六円、平成一八年は二六六万〇一二五円であったが、本件交通事故前後を通じて、甲川が支給を受ける給与及び賞与の額について、特に変更があったわけではないこと、甲川は、本件交通事故前は健康状態も良く、早朝から定刻に出勤し、仕事をてきぱきとこなしていた状態であったところ、本件交通事故後に復職した後は、通勤時、自動車に対する恐怖心が拭えない、頭痛やふらつきがある、食欲がない、仕事に対する不安感が強いなどと訴えることが多く、平成一九年度は、症状も徐々に回復し、職務を遂行することができる状態になったものの、書類作成に追われるなどした場合には、時として、精神的に不安定な状態になることもあるという状態であったことがそれぞれ認められる。以上のような、本件交通事故後の甲川の勤務状況等と、前記諸事情に鑑みれば、甲川は、本件交通事故前後を通じて、その収入が大幅に減少したわけではないものの、これは、勤務先の同僚等による援助があったことに加え、甲川においても労働能力の低下による収入の減少を回復すべく特別の努力をしたことによるものであるとみるのが相当である上、甲川の脳機能低下による適応力の障害が、将来的にその昇進、昇給等に影響を与える蓋然性が高いということができるのであるから、これら諸事情を考慮すると、甲川は、症状固定時から就労可能な六七歳に至るまでの四四年間にわたって、その労働能力を三〇パーセント喪失したものとみるのが相当である。また、甲川が地方公務員であることや本件交通事故前の収入の額等に鑑みれば、甲川は、上記期間にわたって、平成一八年賃金センサス・産業計・企業規模計・女性労働者・学歴計の全年齢平均賃金である三四三万二五〇〇円の財産上の利益を挙げる蓋然性が高かったということができる。
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2010年8月2日月曜日

顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマ:転籍

顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマをまとめます。

今日は、転籍についてです。

裁判例は、会社が営業部門を独立させて新会社を設立し、労働者に発した転籍命令に従わなかったことを理由とする懲戒解雇は無効と判断しました。以下、判決文の引用です。

転籍出向は出向前の使用者との間の従前の労働契約関係を解消し、出向先の使用者との間に新たな労働契約関係を生ぜしめるものであるから、それが民法六二五条一項にいう使用者による権利の第三者に対する譲渡に該当するかどうかはともかくとしても、労働者にとっては重大な利害が生ずる問題であることは否定し難く、したがって、一方的に使用者の意思のみによって転籍出向を命じ得るとすることは相当でない。
 ただ、現代の企業社会においては、労働者側においても、労働契約における人的な関係を重視する考え方は希薄になりつつあり,賃金の高低等客観的な労働条件や使用者(企業)の経済力等のいわば物的な関係を重視する傾向が強まっていることも否定できず、また使用者側においても企業の系列化なくしては円滑な企業活動が困難になり、ひいては企業間の競争に敗れ存続自体が危うくなる場合も稀ではないことからすると、いかなる場合にも転籍出向を命じるには労働者の同意が必要であるとするのが妥当であるか否かについては疑問がないではない。しかしながら、希薄になりつつあるとはいえ労働契約における人的関係の重要性は否定することはできず、また契約締結の自由の存在を否定することができない以上、右のような諸情勢の下にあってもなお、それが常に具体的同意でなければならないかどうかはともかく、少なくとも包括的同意もない場合にまで転籍出向を認めることは、いかに両社間の資本的・人的結びつきが強く、双方の労働条件に差異はないとしても、到底相当とは思われない。
 本件の場合においては、両社の間には右物的な関係においても差異がないとまではいい難いうえに、債権者は本件転籍出向につき具体的同意はもちろん包括的な同意もしていなかったのであるから、右同意を得ないでした会社の本件転籍出向命令は無効という外はない。


会社の方で、ご不明なことがあれば、御社の顧問弁護士にご相談ください。個人の方で、以上の点につき相談したいことがあれば、弁護士にご相談ください。なお、法律というのは絶えず改正が繰り返され、日々新たな裁判例・先例が積み重なっていきます。法の適用・運用のトレンドもその時々によって変わることがあります。そして、事例ごとに考慮しなければならないことが異なるため、一般論だけを押さえても、最善の問題解決に結びつかないことが多々あります(特にこのブログで紹介することの多い労務問題(残業代請求、サービス残業など)は、これらの傾向が顕著です)。そして、当ブログにおいて公開する情報は、対価を得ることなくメモ的な走り書きによりできあがっているため、(ある程度気をつけるようにしていますが)不完全な記述や誤植が含まれている可能性があり、また、書いた当時は最新の情報であっても現在では情報として古くなっている可能性もあります。実際にご自身で解決することが難しい法律問題に直面した場合には、一般的に得られる知識のみに基づいてご自身で判断してしまうのではなく、必ず専門家(顧問弁護士・法律顧問など)に個別にご相談いただくことを強くお勧めします。また、最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。

2010年7月30日金曜日

複数契約の解除

顧問弁護士(法律顧問)が問い合わせを受けるテーマをまとめます。

今日のテーマは、複数契約の解除についてです。

形式的に複数の契約がある場合に、一方について債務不履行があることを理由として、当該契約とともに他方の契約を解除することは認められるでしょうか。この問題について、最高裁は、以下のとおり判断しました(判決文の引用)。

同一当事者間の債権債務関係がその形式は甲契約及び乙契約といった二個以上の契約から成る場合であっても、それらの目的とするところが相互に密接に関連付けられていて,社会通念上、甲契約又は乙契約のいずれかが履行されるだけでは契約を締結した目的が全体としては達成されないと認められる場合には、甲契約上の債務の不履行を理由に、その債権者が法定解除権の行使として甲契約と併せて乙契約をも解除することができるものと解するのが相当である。
これを本件について見ると、本件不動産は、屋内プールを含むスポーツ施設を利用することを主要な目的としたいわゆるリゾートマンションであり、前記の事実関係の下においては、上告人らは、本件不動産をそのような目的を持つ物件として購入したものであることがうかがわれ、被上告人による屋内プールの完成の遅延という本件会員権契約の要素たる債務の履行遅滞により、本件売買契約を締結した目的を達成することができなくなったものというべきであるから、本件売買契約においてその目的が表示されていたかどうかにかかわらず、右の履行遅滞を理由として民法五四一条により本件売買契約を解除することができるものと解するのが相当である。


個人の方で、以上の点につき相談したいことがあれば、弁護士にご相談ください。会社の方で、以上の点に不明な点があれば、顧問弁護士にご相談ください。なお、法律というのは絶えず改正が繰り返され、日々新たな裁判例・先例が積み重なっていきます。法の適用・運用のトレンドもその時々によって変わることがあります。そして、事例ごとに考慮しなければならないことが異なるため、一般論だけを押さえても、最善の問題解決に結びつかないことが多々あります(特にこのブログで紹介することの多い労務問題(残業代請求、サービス残業など)は、これらの傾向が顕著です)。そして、当ブログにおいて公開する情報は、対価を得ることなくメモ的な走り書きによりできあがっているため、(ある程度気をつけるようにしていますが)不完全な記述や誤植が含まれている可能性があり、また、書いた当時は最新の情報であっても現在では情報として古くなっている可能性もあります。実際にご自身で解決することが難しい法律問題に直面した場合には、一般的に得られる知識のみに基づいてご自身で判断してしまうのではなく、必ず専門家(顧問弁護士・法律顧問など)に個別にご相談いただくことを強くお勧めします。

2010年6月4日金曜日

顧問弁護士(法律顧問)が扱うテーマ:平和義務違反の争議行為

顧問弁護士(法律顧問)が扱うテーマをメモしています。

今回は、平和義務違反の争議行為についてです。

平和義務違反の争議行為に関しては、最高裁(弘南バス事件。上告会社の従業員である被上告人らが、上告会社の許可なく組合文書檄文旗等を掲示したことなどを理由とする本件懲戒解雇が無効であるとして、上告会社の従業員としての地位を有することの確認を求めた事案)において、以下のとおり判断しました。

懲戒解雇は、普通解雇と異なり、譴責、減給、降職、出勤停止等とともに、企業秩序の違反に対し、使用者によつて課せられる一種の制裁罰であると解すべきこと、当裁判所の判例とするところである(昭和三六年(オ)第一二二六号同三八年六月二一日第二小法廷判決、民集一七巻五号七五四頁参照)。そして、平和義務に違反する争議行為は、その平和義務が労働協約に内在するいわゆる相対的平和義務である場合においても、また、いわゆる絶対的平和義務条項に基づく平和義務である場合においても(ちなみに、上告会社主張の争議妥結協定および細目協定は、紛争解決に関する当事者のたんなる心構えの相互確認の域を出るものではなく、いわゆる絶対的平和義務条項ではありえない。)、これに違反する争議行為は、たんなる契約上の債務の不履行であつて、これをもつて、前記判例にいう企業秩序の侵犯にあたるとすることはできず、また、個々の組合員がかかる争議行為に参加することも、労働契約上の債務不履行にすぎないものと解するのが相当である。
 したがつて、使用者は、労働者が平和義務に違反する争議行為をし、またはこれに参加したことのみを理由として、当該労働者を懲戒処分に付しえないものといわなければならず、原審の判断は、右とその理由を異にするところがあるが、けつきよく、正当であつて、論旨は採用できない。



会社の方で、以上の点に不明なことがあれば、顧問弁護士にご相談ください。個人の方で、以上の点につき相談したいことがあれば、弁護士にご相談ください。なお、法律というのは絶えず改正が繰り返され、日々新たな裁判例・先例が積み重なっていきます。法の適用・運用のトレンドもその時々によって変わることがあります。そして、事例ごとに考慮しなければならないことが異なるため、一般論だけを押さえても、最善の問題解決に結びつかないことが多々あります(特にこのブログで紹介することの多い労務問題(未払い残業代など)は、これらの傾向が顕著です)。そして、当ブログにおいて公開する情報は、対価を得ることなくメモ的な走り書きによりできあがっているため、(ある程度気をつけるようにしていますが)不完全な記述や誤植が含まれている可能性があり、また、書いた当時は最新の情報であっても現在では情報として古くなっている可能性もあります。実際にご自身で解決することが難しい法律問題に直面した場合には、一般的に得られる知識のみに基づいてご自身で判断してしまうのではなく、必ず専門家(顧問弁護士・法律顧問など)に個別にご相談いただくことを強くお勧めします。

2010年5月20日木曜日

残業代請求などの労務問題の基礎知識:育児介護休業

顧問弁護士(法律顧問)として聞かれることが多いポイントをまとめています。

 
今日は、育児休業と介護休業についてです。残業代請求などの労務問題の基礎知識として重要です。


育児休業と介護休業については、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(以下「育児介護休業法」)という法律がその内容などを規定しています。


まずは、育児休業について見ていきましょう。


労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができます(育児介護休業法5条1項)。女性だけでなく、男性にも育児休業は認められています。


また、日雇い労働者には育児休業は認められません(2条1号)が、期間を定めて雇用される者にあっても、当該事業主に引き続き雇用された期間が一年以上である者であって、その養育する子が一歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者、などの条件をみたせば、当該申出をすることができます(5条1項ただし書)。


法律上は、会社は、育児休業中は、賃金を支払う必要はありませんが、就業規則などに定めがあれば、その定めにしたがって支払う必要があります。また、一定の場合には、雇用保険から育児休業給付が支給されます。


事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません(10条)ので注意してください。


次に、介護休業について概観します。


労働者は、その事業主に申し出ることにより、介護休業をすることができます(11条1項)。日雇い労働者には介護休業は認められません(2条1号2号)が、期間を定めて雇用される者にあっても、当該事業主に引き続き雇用された期間が一年以上である者であって、介護休業開始予定日から起算して九十三日を経過する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者、などの条件をみたせば、当該申出をすることができます(11条1項ただし書)。


事業主は、労働者が介護休業申出をし、又は介護休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません(16条・10条)ので注意してください。


法律上は、会社は、介護休業中は、賃金を支払う必要はありませんが、就業規則などに定めがあれば、その定めにしたがって支払う必要があります。また、一定の場合には、雇用保険から介護休業給付が支給されます。



不明な点などがありましたら、御社の顧問弁護士(法律顧問)にお問い合わせください。

 
法律問題でお悩みの方も、弁護士に相談してみてはどうですか。

2010年4月29日木曜日

顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマ:経営判断の原則

顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマをまとめます。

今日のテーマは、経営判断の原則についてです。

取締役が善管注意義務や忠実義務に違反したときは、会社に対して損害賠償責任を負います。ただ、経営判断の原則との関係で、どのような場合に取締役が責任を負うのかは、しばしば問題になります。ここに、経営判断の原則とは、取締役の経営判断が会社に損害を与える結果を生じたとしても、当該判断が一定の要件のもとに行われた場合には、裁判所が判断の当否について事後的に介入し、注意義務違反として取締役の責任を直ちに問うべきではないという考えのことです。その具体的な要件について、裁判例においては、以下のように判断されています。

以下は、判決文の引用です。

企業の経営に関する判断は不確実かつ流動的で複雑多様な諸要素を対象にした専門的、予測的、政策的な判断能力を必要とする総合的判断であり、また、企業活動は、利益獲得をその目標としているところから、一定のリスクが伴うものである。このような企業活動の中で取締役が萎縮することなく経営に専念するためには、その権限の範囲で裁量権が認められるべきである。したがって、取締役の業務についての善管注意義務違反又は忠実義務違反の有無の判断に当たっては、取締役によって当該行為がなされた当時における会社の状況及び会社を取り巻く社会、経済、文化等の情勢の下において、当該会社の属する業界における通常の経営者の有すべき知見及び経験を基準として、前提としての事実の認識に不注意な誤りがなかったか否か及びその事実に基づく行為の選択決定に不合理がなかったか否かという観点から、当該行為をすることが著しく不合理と評価されるか否かによるべきである。・・・本件第2貸付けを中止することは、本件計画を断念することに匹敵する事態であり、そのような判断を当時行うだけの事情はなかったと言うべきである。また、貸付けに当たっての債権保全措置に前記のとおり遺漏があったことは認められるが、経営者としては弁護士を含む事務担当者が適切に処理することを期待することは相当であり、原告ら役員に義務違反があったとは言えない。・・・平成5年中のH弁護士、N弁護士等の調査結果から、直ちに本件計画を断念して、貸金債権回収の法的手段を講ずるべきであるとの結論は導くことはできない。

会社の方で、以上の点に不明なことがあれば、顧問弁護士にご相談ください。個人の方で、以上の点のほか、未払いの残業代問題など法律問題につき相談したいことがあれば、弁護士にご相談ください。なお、法律というのは絶えず改正が繰り返され、日々新たな裁判例・先例が積み重なっていきます。法の適用・運用のトレンドもその時々によって変わることがあります。そして、事例ごとに考慮しなければならないことが異なるため、一般論だけを押さえても、最善の問題解決に結びつかないことが多々あります(特にこのブログで紹介することの多い労務問題(残業代請求、サービス残業など)は、これらの傾向が顕著です)。そして、当ブログにおいて公開する情報は、対価を得ることなくメモ的な走り書きによりできあがっているため、(ある程度気をつけるようにしていますが)不完全な記述や誤植が含まれている可能性があり、また、書いた当時は最新の情報であっても現在では情報として古くなっている可能性もあります。実際にご自身で解決することが難しい法律問題に直面した場合には、一般的に得られる知識のみに基づいてご自身で判断してしまうのではなく、必ず専門家(顧問弁護士・法律顧問など)に個別にご相談いただくことを強くお勧めします。また、最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。

2010年3月18日木曜日

労務問題(残業代請求など)関連:身元保証人

顧問弁護士に多い問い合わせについてまとめます。

今回は、身元保証人の責任についてです。

身元保証とは、被用者の行為によって使用者が受けた損害を賠償すること約する契約です(身元保証法1条)。

身元保証契約は、安易に身元保証になるケースが多いことから、このような保証人を保護するため、身元保証法が制定されました。このような趣旨から、身元保証人の責任は制約されています。

まず、身元保証契約の期間は、契約に期間の定めがなければ3年で終了します。定めがある場合でも、5年が上限です。合意で更新することはできますが、その期間も5年を超えることはできませんし、自動更新の規定は無効です。

次に、使用者は、労働者が「業務上不適任または不誠実」だったり、「任務または任地」が変更し、身元保証人に危険が及ぶような場合には、遅滞なく身元保証人に通知しなければなりません。このような事実がある場合、身元保証人は、将来に向かって身元保証契約を解除できます。

保証責任の範囲・金額については、裁判所は、被用者の監督に関する使用者の過失の有無、身元保証人が保証をするに至った事由、これをなすにあたって用いた注意の程度、被用者の任務、身上の変化その他一切の事情を斟酌できます。

裁判例においても、身元保証人の責任の有無・範囲を限定的に解するものが多くみられますので、企業としては、身元保証人をあてにせず、従業員の指導監督により損害発生を未然に防止するように心がけるべきでしょう。


以上について、ご不明な点がありましたら、顧問弁護士までお問い合わせください。

また、法律問題でお悩みの方は、弁護士にお問い合わせください。

最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。

2010年2月26日金曜日

顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマ:訴状と証拠

顧問弁護士(法律顧問)がよく問い合わせを受けるテーマをまとめます。

今日は、訴状と証拠についてです。

訴状には、証拠について全て記載する必要はありませんが、主要な証拠書類の写しを訴状に添えます。不動産事件であれば登記簿謄本、人事事件であれば戸籍謄本の写しを添付します。この場合、訴状の末尾に、題名と立証の趣旨を記載します。

訴状は、裁判所の分(正本)と被告の分(副本)を一緒に裁判所に提出します。被告が二人以上の場合は、それぞれの被告に一通ずつの副本が必要です。副本には証拠書類の写しの添付は必要ですが、資格証明の写しは不要です(裁判所が必要とする証明書だからです)。
そして、訴状に押印し、因子を表書きの左上に貼り、裁判所に出すものの右上に「正本」、被告に出すものの右上に「副本」と記入します。


原告の提出する証拠書類には、「甲●号証」と記載し、訴状にも、その番号で証拠書類を提出することを明らかにし、訴状の最後に付属書類には何があるかを明記します。

付属書類としては、証拠書類の写しや、原告または被告が法人の場合は、代表者の資格を明らかにする資格証明書(or会社登記簿謄本)などがあります。資格証明書や会社登記簿謄本は、その会社の所在地を管轄する登記所(法務局またはその出張所)へ行けば取得可能ですし、郵便で取得することもできます。

訴状を提出する際には、郵便切手が必要です。なぜなら、訴状の副本と呼出状をを被告に送達する必要があるからです。

なお、本人訴訟をする場合には、既成の訴状を使うと便利です。該当の項目にチェックを入れて、必要な箇所を記入し、署名押印すれば訴状ができあがります。ただし、複雑な事件などは、弁護士に相談されることをお勧めします。

会社の方で、以上の点に不明なことがあれば、顧問弁護士にご相談ください。

個人の方で、以上の点につき相談したいことがあれば、弁護士にご相談ください。


なお、法律というのは絶えず改正が繰り返され、日々新たな裁判例・先例が積み重なっていきます。法の適用・運用のトレンドもその時々によって変わることがあります。そして、事例ごとに考慮しなければならないことが異なるため、一般論だけを押さえても、最善の問題解決に結びつかないことが多々あります(特にこのブログで紹介することの多い労務問題(残業代請求、サービス残業など)は、これらの傾向が顕著です)。そして、当ブログにおいて公開する情報は、対価を得ることなくメモ的な走り書きによりできあがっているため、(ある程度気をつけるようにしていますが)不完全な記述や誤植が含まれている可能性があり、また、書いた当時は最新の情報であっても現在では情報として古くなっている可能性もあります。実際にご自身で解決することが難しい法律問題に直面した場合には、一般的に得られる知識のみに基づいてご自身で判断してしまうのではなく、必ず専門家(顧問弁護士・法律顧問など)に個別にご相談いただくことを強くお勧めします。また、最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。

2010年1月10日日曜日

顧問弁護士(法律顧問)に多い質問・・・私的再建手続

私的再建手続のメリットは、以下のとおりといわれています。

・原則として取引債権は対象とせず、主に金融債権のみを権利変更の対象とすること・対象債権者と債務者のみで秘密裏に行われるため債務者の事業に与える影響が少ないこと(=事業価値の毀損が少ないこと)

・仮に法的再建手続に移行したとしても、スムーズに事業が継続することで企業価値の毀損を防止できる(特定調停の特則、信用保証の特則、プレDIPファイナンスの特則)

事業再生ADRの資格を保有する団体として、JATPがある。JATPが手続の対象として予定している対象は、①会社であって、個人事業者は対象外であり、②すでに再建計画案が策定されていることが必要である。単に経済的に窮しているという段階では受け付けられず、再建計画案を策定する必要がある。再建計画案も要件が厳格であるため、弁護士らの専門家が関与することが通常である。

手続利用が受け付けられると、対象債権者に対し、弁済受領などの一時停止の通知が、債務者とJATPの連名でされる(私的整理ガイドラインでは、メイン銀行が連名でする点で異なる)。

事業再生ADR手続を実質において主宰するのは、JATPが選定し、債権者会議で選任された手続実施者である。事業再生ADRの手続利用の申込みが正式受理されてから再建計画案成立までは3ヶ月くらいであるのが通常である。また、手続は有料である(この点は中小企業再生支援協議会とは異なる)。

ご不明な点は顧問弁護士にご相談を

その他、法律問題でお悩みの方も弁護士にご相談ください。

最近は、企業のコンプライアンスの重要性、すなわち、法律や規則などのごく基本的なルールに従って活動を行うことの重要性が高まっています。労働者から未払いの残業代を請求されるというサービス残業の問題を始め、企業にある日突然法律トラブルが生じることがあります。日頃からコンプライアンスを徹底するためにも、顧問弁護士を検討することをお勧めします。